勤務中に体調不良を感じた男性
しかし、仕事を抜け出すことが
できず…
仕事中に「ちょっと体調が悪い」と感じた時、あなたはどうしますか。
個人差はあると思いますが、病院に行きたくても「仕事が終わってからでいいか」と受診を我慢してしまう人もいるのではないでしょうか。
確かに仕事は大切で、急に休んでしまうと、職場や取引先に迷惑をかけてしまうこともあり、簡単には休みにくいですよね。
しかし、体調が悪いにもかかわらず、無理をして働き続けることのしわ寄せは、意外なところにおよんでいるかもしれません。
こちらの作品は漫画家の羊の目。さんによるもの。
勤務中に体調不良を感じていた吉田さんでしたが、途中で会社を抜け出せる雰囲気ではなく、業務が終わってから病院に行くことにしました。
また、高齢の母親を病院に連れていかなければならない田所さんも、仕事が長引き、病院に着いたのは夜遅い時間。
院内を見渡すと、遅い時間にもかかわらず、多くの人たちが診察を待っています。
彼らを診察する医師は、何時まで仕事が続くのか、見当もつかない状態でした。
『医師の働き方改革』が
スタート!
2019年4月以降、働き方改革によって、時間外労働の上限が設けられています。
一方で、一部の業種では上限規制の適用が猶予されており、診療に従事する医師もその1つでした。
業務が多岐に渡り、かつ専門性も高い職業である医師は、長時間労働が常態化してしまっているといいます。
今日の医療は、医師たちの献身により成り立っているといっても過言ではありません。
2024年4月からは、医師についても働き方改革がスタートします。
時間外・休日労働の上限規制など、医師の健康を守り、将来にわたって医療の質・安全を確保するための取り組みが行われていますが、働き方改革を行うには、私たち一人ひとりの協力も必要です。
私たちにできることは?
医師の長時間労働の要因の1つに、診療時間外の受診があげられます。
漫画のように、日中に働く人たちが勤務終了後まで受診を我慢してしまうことで、本人の体調が悪化する可能性や、休日や夜間の患者が増えて、医師の時間外労働が増加する要因にもなります。
緊急の場合以外は、病院やクリニックの診療時間内の受診を心がけることが、医師の労働時間の短縮にもつながるでしょう。
また、医師の働き方改革の一環として『タスクシフト・タスクシェア』と呼ばれる取り組みがあります。
簡単にいえば、医師が行っている業務の一部を看護師や薬剤師など他の医療スタッフに任せたり、分担したりすることです。
個人ではなく、チームとしての医療体制が実現し、業務効率が改善されれば、医師の負担を減らすことができます。
また、さまざまな医療スタッフがそれぞれの専門性を生かしてチームで対応することで、患者もより質の高い医療を受けることが可能になります。
働き方改革を実現するには…
数年後、吉田さんは部下を持つようになったのでしょう。体調が悪そうな部下に対し「仕事は気にせず病院に行け」と伝えました。
また、スーパーで働く田所さんが母親の体調不良を伝えると、上司からは「今すぐ行ってあげてください」と指示されます。
環境を整えることの大切さが伝わったことで、多くの人が自分や家族のために、無理せず診療時間内に病院で受診できるようになりました。
社会全体で生活リズムが改善されれば、医師にも仕事後に家族との時間を楽しむ余裕が生まれるはずです。
誰もが当たり前のように自分や家族の健康を優先できる社会になった時、真に「働き方改革が実現できた」といえるのではないでしょうか。
文・構成/grape編集部
出典:https://grapee.jp/1487768