「医師の働き方改革」とは
日本の医療は、医療機関に勤務する医師の長時間労働により支えられてきました。「医師の働き方改革」とは、こうした現状を“改革”し、医師が健康に働き続けられるような環境を整備することで、患者さんに提供する医療の質・安全を確保すると同時に、将来にわたって持続可能な医療提供体制を維持していくための取組です。このうち、医師の残業時間に上限を設ける制度が2024年4月からスタートします。
「そもそも、
働き方改革って?」
- 「働き方改革」は、働く方の置かれた個々の事情に応じ、多様な働き方を選択できる社会を実現し、働く方一人ひとりがより良い将来の展望を持てるようにすることを目指した取組です。
- 具体的な取組は、「働き方改革実行計画」(平成29年3月28日働き方改革実現会議決定)にまとめられています。「賃金引上げと労働生産性向上」「長時間労働の是正」「柔軟な働き方がしやすい環境整備」「女性・若者の人材育成など活躍しやすい環境整備」「病気の治療と仕事の両立」「子育て・介護等と仕事の両立、障害者の就労」「高齢者の就業促進」など様々な内容を含んでいます。
- このうち、「長時間労働の是正」には、残業時間に上限を設ける制度(時間外労働の上限規制)が盛り込まれました。この上限規制は、2019年4月から一般の労働者に適用がスタートされ、医師を含めた一部の職種・業種については、2024年4月からスタートすることになりました。
「医師の勤務実態って?」
- 令和元年度の調査では、医療機関で働く医師の約40%が月80時間以上の残業(時間外・休日労働)を行っています。また、その2倍に相当する残業を行っている医師も約1割を占めており、医療機関で働く医師には長時間労働の実態があります。
- 日々高度化する医療技術を身につけるための対応や、患者さんへのきめ細やかな対応のニーズの高まりなどにより、こうした長時間労働に拍車がかかってきた状況もあります。また、患者さんへの病状説明や血圧測定、記録作成なども医師が担当するなど、医師に業務が集中する実態もありました。
「医師の働き方改革の
具体的な取組って?」
- 医師についても上限規制がスタートする中で、医療機関は、適切な労務管理の下、勤務環境を改善し、長時間労働になっている医師の労働時間を短縮するための取組を行っていくことが求められます。
- 具体的な取組としては、医師と他の医療職種との間でのタスク・シフト/シェア、医師の業務の見直し(複数主治医制、病状説明の勤務時間内実施と患者さんや家族への周知など)、その他の勤務環境の改善(ICT技術の活用、子育て世代の医師が働きやすい環境の整備(短時間勤務など)、地域の病院間での役割分担(救急の輪番制の導入など)、患者さんの相談窓口の設置など)があります。
「医師の働き方改革を
進める為に」
- 医師の働き方に関して、睡眠不足になると作業能力が低下する、勤務時間が長くなるほどヒヤリ・ハットを経験した割合が高くなるといったデータもあります。医師の健康を確保することは、医療の受け手となる患者さんに提供される医療の質・安全につながる重要な取組です。
- また、患者さんの医療のかかり方は医師の働き方にも大きな影響を与えます。医師の働き方改革を進めるために、医療機関や医療従事者だけでなく、患者さんを含めて、関係者が一丸となって取り組んでいきましょう。
「医師の働き方改革」とは
我が国の医療と医師の働き方